元JRAの競走馬だったオハギを知っていますか?
とても可愛くてインパクトのある、ほっこり系の名前の馬ですよね。
現役を引退した競走馬の第2の馬生にはいろいろありますが、このオハギも現在第2の馬生をスタートさせています。
標準より小さい馬だったオハギの、ちょっと変わった現在の仕事について知って欲しいです!
競走馬としてのオハギはどんな馬だったの?
オハギ自身の現役競走馬時代はどんな感じ?
オハギはサラブレッドで、元々はJRA所属の競走馬でした。
デビュー前から小さい馬だったことと脚元が悪かったこともあって、生産牧場名義でのデビューでしたが、戦績は2戦2敗での引退。
現役時代の体重が最高で368kgと、500kg前後の馬が多いサラブレッドの中ではかなり小柄であったのが影響したのかも知れません。
「オハギ」というなんとも可愛い馬名は、小さな頃から牧場スタッフに呼ばれてきた幼少名そのままなのだとか。
そんな裏話からも、牧場で過ごした時からかなり可愛がられていたということが伺えますね。
オハギの血統背景は?小さい馬になってしまった理由もそこに?
オハギの父馬はJRAと海外でG1を6勝もしている名馬モーリス。
母馬はメジロツボネ。
メジロツボネもJRAの競走馬で、重賞こそ勝っていませんが4勝を上げて引退。
競走馬はデビューしても1勝もできずに引退する場合も多いので、牝馬としてはそれなりに立派な現役時代の成績です。
メジロツボネの産駒には重賞3勝、うち海外G1を1勝しているグローリーヴェイズがいます。
オハギはそのグローリーヴェイズの3歳下の妹ということになりますね。
グローリーヴェイズの父は競馬を知らない人でも名前を聞いたことがあるような名馬ディープインパクトなのでオハギとは父馬は違いますが、オハギも十分良血馬だと言える血統。
母馬メジロツボネは牝馬としては一般的な体重。
父馬モーリスは500kg以上の雄大な馬格。
父馬が違うオハギの兄弟もみんな標準的な体重なのに、牡牝の差もあるのか、オハギは標準よりかなり小さい馬に育ってしまいました。
競走馬の第2の馬生って?繁殖に上がれなかった馬はどんな馬生を送っているの?
サラブレッドとしてはかなり小さい部類の体格だったオハギの第2の馬生を語る前に、まず、競走馬を引退した馬はその後にどんな道に進むのかをざっくりと説明しますね。
①種牡馬または繁殖牝馬 次世代の馬を残すために
②乗馬 乗馬クラブや馬術の馬として
③使役馬 最近は少ないですが農業などの現場で働く
④功労馬 生産牧場や功労馬牧場などで余生を送る
⑤廃用 要するに、殺処分 食肉や加工肉等にも
大体がこんな感じになっています。
JRA(中央競馬)所属の馬は、中央で活躍が出来なくなって地方競馬所属→引退して上記のルート…という場合も多いです。
良血馬オハギが繁殖牝馬になれなかった理由は?小さい馬は繁殖に向かないの?
前章でも書いたように、競走馬を引退した馬が必ず繁殖馬になれる訳ではないのがサラブレッドの世界。
牡馬(ぼば・オス馬)が種牡馬になるよりは牝馬(ひんば・メス馬)が繁殖牝馬になる方がハードルが低いとは言え、どんな馬でも繁殖牝馬になれるというものではありません。
オハギは自身の成績は良くありませんでしたが、血統的には十分繁殖牝馬になれる資格がありました。一時代を築いたサンデーサイレンス系の血が少し遠いので、沢山いるサンデーサイレンス系の種牡馬と掛け合わせやすいという点でも繁殖に向く感じです。
しかし、小柄すぎる体格が繁殖牝馬には相応しくないという事で、残念ですがその道を断たれてしまいます。
メロディーレーン(現役競走馬)という小さな馬もいます!
2021年現在、JRA所属の競走馬にメロディーレーンという小さな牝馬がいます。
メロディーレーンの体重は最高でも340kg台という軽さ。
長距離が得意なので距離の長いG1にも数回出走していて、ひときわ目立つ小ささでかなりな人気を博しています。
この小ささでも牡馬と互角に渡り合って5着になった菊花賞など、なかなかの活躍。
メロディーレーンも父は3冠馬のオルフェーブル、半弟は重賞勝ちのタイトルホルダーという良血。
それでも、もしかしたらオハギと同じ理由で繁殖牝馬になるのが難しいかも知れないですね。
話は逸れましたが…
そんな「小さいから繁殖牝馬失格」となってしまったオハギですが、彼女はその後どういった馬生を歩んでいるのでしょうか。
小さなサラブレッド・オハギは今どこで何をしているの?
オハギは繁殖牝馬にはなれませんでしたが、彼女は今、北海道のレイクヴィラファームにいました。
サラブレッドは人間が自分たちの都合で繁殖させている経済動物。
先程、第2の馬生として書いたように、引退後の競走馬が繁殖馬や乗馬として生かされている数はほんのひと握りです。
競走馬引退後、大半の馬がなんとなく行方不明…どこかで殺処分(…競馬ファンとしては悲しいですが、食肉などにも)となっているのが現実。
そんな中で、運良く牧場に戻って来たオハギ。
生まれ育った牧場で与えられたオハギの現在の仕事はあまり聞きなれない「リードホース」というものでした。
オハギの現在の仕事「リードホース」とはどんな仕事なの?
リードホースというのは人間でいえば保育士のような存在。
離乳した後の当歳や1歳の仔馬の群れを精神的に支えるリーダー的な役割をするのが仕事です。
母親と離された仔馬たちが不安になったり争ったりしないようにその場をまとめたり導いたりする大切な役目を持つリードホース。
リードホースなんて、以前は聞いたことの無かった役目。
サラブレッドは30年以上も生きることがある動物なのに、競走馬として生活している時間は一般的には5~6年程度。
昨今は第2第3の馬生を大切にしようとする動きもみられるので、こうやって仕事を与えられながら余生を送れる馬が増えることは嬉しいですね。
リードホース・オハギの実際の仕事ぶりは?見習うべき先輩はなんと超有名なあの馬!
オハギがリードホースとして働くレイクヴィラファームには他にリードホースとして、元競走馬のトリオンフやホウオウドリームなどがいるようです。
そして、この牧場ではメジロドーベルもリードホースとして馬生を送っています。
メジロドーベルは現役時代にG1を6勝もしている言わずと知れた偉大な名牝。
メジロドーベルは2016年に繁殖牝馬を引退した後にリードホースとしての仕事をしているのだとか。第3の馬生という訳ですね。
レイクヴィラファームの関係者が言うには、オハギの身体は1歳の仔馬の群れに入っても小さいぐらいだそう。
それでも競走馬としてデビューしたりいろんな経験を積んできた分どっしりと構えているのだとか。
身体は小さくても、ちゃんと「お姉さん馬」なんですね♪
キャピキャピする幼い女の仔馬たちを『はいはい』と受け流している、というんだから立派です。
一方、牧場の方がオハギに目指して欲しいと思っているメジロドーベルは素晴らしいリードホースなんだとか。
群れをまとめることはもちろん、、離乳していない子馬と離乳した子馬それぞれに違う対応をするそう。
『母馬と離れた離乳馬には自分から寄り添い、それでいて母馬のことも尊重して無駄な干渉をしない…』って、なんだか人間社会に当てはめても「理想の先輩」というようなメジロドーベルの仕事ぶり。
メジロドーベルとは違って競走馬としても活躍できず母馬にもなれなかったオハギですが、立派なリードホースになって欲しいですね。
メジロドーベルは現在27歳!元気で何よりです♪↓
(ツイッター上で「26歳」となっていますが、正しくは27歳と後で訂正されています^^)
オハギのまとめ
・元競走馬オハギは標準よりかなり小柄なサラブレッド
・オハギの第2の馬生は生まれ育った牧場でのリードホースという仕事
・リードホースは後輩馬の教育係のような大切な役目
・オハギはリードホースの大先輩、メジロドーベルを見習いながら頑張り中
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